発音のごった煮
ここ最近、読み聞かせや紹介をした本。
③とびばこのひるやすみ | 村上しいこ作 長谷川義史絵 | 書籍 | PHP研究所
この3冊の共通点。
近畿地方の言葉で書かれた作品なのです。
①『やさいのおにたいじ』:いわゆる京ことば
京の都に住む野菜たちは、あることに恐れていた。近ごろ、東の山から、こんにゃくいもの鬼がやってきて、野菜の娘・姫たちをさらっていくのである。さらわれた娘たちを取り戻すため、知恵と勇気がある野菜たちがとった行動とは…?
→京ことばを聞き慣れている私も、下読み段階で何度も詰まる。ナチュラルなイントネーション、どうだったっけ…合うてるっけ…のくりかえし。
②『かべのすきま』:いわゆる大阪弁
壁に、糸のようなものが、だらんとあった。なんだこれ。引っ張ってみよう。すると、壁にすきまができ、そこから、おばちゃん3人が、ぼくの家にやってきて…
→ステレオタイプな“大阪のおばちゃん”が、男の子の家に、壁の隙間から登場するという話。豹柄タイツに、虎顔のシャツ。おせっかいだけど、困ったときは、優しい。まさに、出てくる女性たちは、“大阪のおばちゃん”そのものだ。
作者も、大阪府出身。あまり、大阪の中高年女性を、こんなふうに一括りしてほしくなかったけど…しかたないか。
読んでいるときは、そんな私でも、“大阪のおばちゃん”になりきりました。イントネーションや雰囲気だけは、よく吸収していますからね。
③『とびばこのひるやすみ』:いわゆる大阪弁(台詞のみ)
とびばこが苦手なけんいちくんは、昼休みに、ひっそり、とびばこの練習をしようとした。いじめっ子につけられ、笑われたところに、「なに、わろてんねん」とおばちゃんの叫び声が響く。声の主は、なんと、とびばこ。とびばこは、昼休みのちょっとの時間を使って、けんいちくんと、商店街へ遊びに出かけることにした。
→ここでも、大阪ことばが出てくる。おばちゃん声のとびばこは、おしゃれをするのが好きという設定。
①と②は、読む際、台詞のみならず、地の文も、近畿のイントネーションにするか、標準語のイントネーションにするか、迷ったまま読んでしまっていたときがありました。“こう決めて読む!”というパターンは少なく、そのときにならないと、読み手の雰囲気の出し方が定まらないのが、私の悪いところでもあります。
下読みを必ずするのは当たり前ですが、本を楽しむのは私だけではないから、発する言葉の細やかなイントネーションにも気を配りたい。
普段、話者として関西ことばを使う身だからこそ、そう振り返ることができたきっかけの本たちの話でした。